NO IMAGE

なみに抱かれるような錯覚 *大人が読みたい名作絵本*

スポンサーリンク



この絵本を読めば、なぜ人は海を「母親」と例えるのかが分かるような気がします。
この物語には言葉はありません。

ママと一緒に海を訪れた女の子か、なみと戯れる様子を、黒と青だけで表現している作品で、言葉かない代わりに、女の子の笑顔や仕草がとても生き生きとして見えます。

押しては反すなみは、まるで自ら意思をもっているかのようです。
そして、女の子を優しく見守っているようにも感じます。どうして私達は悲しくなると海を見たくなるのでしょう。それは、いつでもそこに母性を感じるからかもしれません。

なみは、様々な表情を持っています。
優しく、ゆったりとしている時もあれば、激しく恐ろしくなるときもあります。それでも人はなみに憧れ、なみを愛します。どれだけ恐ろしい体験をしても、気が付くとなみを許しているのです。

この絵本に言葉がないのは、なみとの会話にはそもそも言葉などいらないという事なのではないでしょうか?なみと心が繋がれば、心で何でもおしゃべりする事が出来るのです。
スポンサーリンク



女の子は、どんな事をなみにお話ししたのでしょう?ページを捲る度になみは形を変えて女の子と遊びます。

まるで、優しいなみに抱かれているような錯覚になるぐらい、なみの動きはとても臨場感を感じました。
なみの前では、時間など関係ないのかもしれません。女の子の楽しそうな笑顔を見つめながら、見ている方が、つい笑顔になってしまいます。

大人になると、楽しい事ばかりだけではありません。時には、哀しみに包まれる日もあるでしょう。そんな時に、この絵本を見ると、心が癒されます。

時には、こんな風に時間を忘れてなみと戯れる事も必要なのではないのでしょうか?

この「なみ」が伝えたいメッセージは、もしかしたら大人である私達に向けてのものかもしれません。
ストレスに囲まれている現代社会。時には、全てを忘れて小さな子供のように、なみと戯れる余裕も必要だよ。そんな事を伝えてくれる名作ではないかと思います。

引用:なみ
作:スージー・リー
出版元:講談社

スポンサーリンク
>