この世に生まれてきた以上は、いつか会えなくなってしまう時が必ず訪れます。
今、一緒に居られたとしても、明日はどうなってしまうかは、誰にも分かりません。
明日にしよう。っとか明日言おう。と思っていても、明日になった時に、それが実行出来て、その言葉を相手に伝える事が出来るのでしょうか。
この絵本の主人公はまだまだ小さい男の子なんですが、私は、この男の子の気持ちやママの気持ちも痛い程分かります。
居るのが当たり前。と思っていた人が、突然、会えなくなってしまう気持ちは、苦痛で悲しくていたたまれなくなります。
私もそんな思いを子供の頃に経験しました。
お化けでも良いから、会いに来て欲しい。お化けでも良いから、私の側にいて欲しい。お化けでも良いから、話をしたい…。
子供の頃は、そんな感じに母を思っていましたが、今は、自分が母の立場になって、私も、きっと、子供の事が心配でお化けになって、ずっと、子供の側にいてあげたい。と思います。
実際に同じ経験をしている子供達には、凄く辛い絵本かもしれません。
わざわざ、側に居てくれる人を居ないように見立てる必要は無いかも知れません。
けれども、いつまでも自分の側に居てくれるとも限らないのです。
今までやって貰えた事が、居なくなってしまった事で、一人でやらなくてはいけない事って、たくさんあるんですよね。
それに、言いたかった事があれば、なおの事。
あの時に、言っていれば…。と後悔しか残らなくなってしまいます。
そういった感情が、この絵本には素直でお茶目に表現されているんです。
子供向けというよりは、私は、大人が読んで、自分には子供に何がしてあげられるのか、子供が自分で頑張れるようにしてあげられるか、を考える絵本だな。と思いました。
命を決して軽く扱っている訳では無く、そうなってしまった時に、後悔しないように、今からでも、一緒に居られる幸せを言葉に出せたら、素敵だなっと思いました。
ータイトルー
ママがおばけになっちゃった
ー作家ー
のぶみ
ー出版社ー
講談社