今回、おすすめしたい絵本は安房直子作、絵・南塚直子の「うさぎのくれたバレエシューズ」です。
どういう内容なのかと言うと、あるバレエを始めた少女が主人公です。
ずっと習っているのに、全然上達しないままの彼女は、星に月にお願いします。
そんな少女に起きた不思議な出来事が描かれています。
大人でも、上手くいかないことってよくありますよね。
同じことを毎日繰り返しているけれど、ミスも減らない。
どうしたらいいの?お願い!と祈りたくなるような気持ちって、大人も子供もあると思います。
この物語は誰もが感じるそんな思いを描いています。
こういう作品って、解決するためには魔法の力を借りたり、不思議な力を得たりすることもあると思います。
「うさぎのくれたバレエシューズ」では少女に手を貸すのはウサギです。
しかし、手を貸す程度で、特に不思議な力を授けるような描写はありません。
ふとしたきっかけで壁を壊すことができる。
壁を壊すタイミングが今、不思議なウサギと共にやってきたのだ。
と言うような内容になっています。
物語ではウサギが力を貸していますが、現実世界でも悩んでいるときって誰かが力を貸してくれたりしますよね。
ふとした言葉だったり、行動だったり。
そういったもので悩みや迷いが消えたりすることってよくあると思います。
物語の中で登場するウサギは、現実世界にもちゃんといるんですよね。
子どもの頃読んだ時は、そんなふうには思いませんでした。
単純にとても綺麗な絵で、可愛いウサギと桜満開の下で踊る少女の姿が気に入って何度も読んでいました。
改めて手に取って読んでみると、やはり絵の素晴らしさも感じますが、改めてお話の良さを感じることができます。
何か習い事を始めたお子さんにはぜひ読んでほしいですし、もちろんバレエを習っているという人にはぴったりだと思います。
ただ、ちゃんと味方はいるんだ、物事は改善するのだということが伝わるので、悩みを抱えている人に読んでほしいなと思います。
「うさぎのくれたバレエシューズ」は小峰書店から出版されています。