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金魚と追っかけっこ!「きんぎょが にげた」を楽しもう *大人が読みたい名作絵本*

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ペットの中でも「静かで場所をとらず、集合住宅でも飼える!」などのメリットから、熱帯魚や観賞魚は根強い人気を誇っています。中でも一番親しみやすいのが金魚。お祭り出店ですくってきたものが、そのまま居ついて水槽の主になってます!と言うお宅も時々あるでしょう。何と言っても、散歩の手間がかからないのが嬉しいですね。でも本当に、「金魚だから、逃げないし」と油断していていいのでしょうか?

子ども向けの絵本や、豊富な挿絵で著名な五味太郎先生の名作のひとつが「きんぎょが にげた」です。他の本と違って珍しく、先生特有の丸みをおびた人間キャラが登場しません。

そう、本書の主人公は真っ赤な「きんぎょ」。金魚鉢から脱出し、アパート内でそこかしこに隠れ、飼い主(あるいは読者)との追っかけっこを繰り広げるのです。

魚が空気中に逃げるわけないじゃん!という、もっともな突込みは入れてはいけません。飛行はもとよりこの金魚、自分の姿態を知り尽くしており、実に巧みなカムフラージュや擬態、鏡の幻像を駆使して、あちらこちらと逃げ回るのです。人間の目の錯覚まで知り尽くしているらしいこのきんぎょ、絶対にただものではありませんね。恐らく金魚界のジェ〇イか何か、特別な一尾なのでしょう。そういえばあの無表情な瞳の中に、何やら果てしない悟りのようなものも感じます。恐るべし、きんぎょ!
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五味先生のビビッドなイラスト構成も魅力のひとつで、全てのページが、まさにおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさです。そんなにぎやかなオブジェの中に、きんぎょはすいすいとかくれていくので、大人でもうっかり「そこ!あっ、違った」という風に、ついついきんぎょの術中にはまってしまうのです。

小さなお子さんと一緒に読んでも盛り上がって楽しめる本ですが、大人が無心に眺めるだけでも、何らかのリラックス効果(あるいは脱力感?)が得られる不思議な一冊です。お魚が好きな方も、そうでない方も、きんぎょが繰り広げる不思議な世界に身を投じてみませんか?

『引用:きんぎょが にげた 作・絵:五味太郎 出版社:福音館書店』

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