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成長だけが全てではない *大人が読みたい名作絵本*

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ティッチは、兄弟あるあるを実にユーモラスに描いた作品です。

幼いティッチは、お姉ちゃんのメアリにも、お兄ちゃんのピートにもかないません。
それはティッチがまだ幼いからなのですが、だからこそ悔しいのです。だからこそ勝ちたかったのだと思います。
どれだけ願っても、兄や姉より成長する事は出来ないのです。

でも、ティッチは諦めませんでした。
この絵本が伝えたかった事は、人は年齢ではないという事なのかもしれません。
兄弟や姉妹がいる人は、多かれ少なかれ、小さな不満を抱えてきました。

一番最初に生まれた人は、一番上という理由だけで忍耐力を強いられます。
美味しいおやつも我慢しなくはいけなかったり、大好きなオモチャも譲らなくてはいけなかったり。
そして、一番下になると今度は何でもお下がりです。

兄弟や姉妹というのは、友達とは違います。特別な絆もありますが、無意識に互いをライバルにしているのです。
ティッチがなんとか勝とうとする姿を見ながら、誰もが「分かる分かる」と頷いたと思います。
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そして、一人っ子の人は、この絵本を見ながら、「兄弟って、こんなに大変なんだ」と知る事でしょう。
そして、「なんて兄弟がいるって羨ましいのだろう」と思う事でしょう。
兄弟がいるのは、時にはめんどくさかったりしますが、時には抱き締めたくなるほど大切な存在なのだと思います。

兄弟や姉妹がいる人も、一人っ子の人も、この「ティッチ」を読んで改めて兄弟について考えてみるのも良いと思います。
そういった当たり前の大切な事をいろいろと教えてくれるのが、まさに名作ではないかと思われます。

作品全体に流れているのは、家族の愛なのではないでしょうか?
ティッチは決してお兄ちゃんやお姉ちゃんが嫌いな訳ではありません。好きだからこそ負けたくないのです。そんな微妙な心の動きを、サラッと表現されているのが、この絵本の魅力だと思います。

この作品をきっかけにして、改めて兄弟や姉妹とは、どういった存在なのかをもう一度考えるのも良いと思います。

引用:ティッチ
作品:パット・ハッチンス
訳:石井桃子
出版元:福音館書店

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