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乗り物絵本だと思っていたら…なんとも意外な展開が!
汽車が「がたん ごとん がたん ごとん」と走っていくと、その先々で不思議な乗客たちが待っています。汽車は淡々とそれからを車両に乗せていき、いよいよ終点につくとその先には…。
文字量もイラストも色彩も全てが少ない要素でまとめられていながら、その奥行の深さに安西水丸さんの世界観をたっぷりと堪能できるおススメの1冊です。
「がたん ごとん がたん ごとん」のリズミカルな文章は、大人でも思わず声に出したくなる心地よさ。
暗唱できてしまう程文字量ですが全く単調には感じません。
むしろ削ぎ落された言葉の配列には感心しきり。子どもが相手だといろいろ言葉を尽くしてしまいたくなってしまうのが大人の常ですよね。
でも言葉を減らして、子どもにできるだけ想像の余地を残してあげる大切さに、この絵本を読むと気づけますよ。
絵も「赤、黄色、緑、黒…」子どもが名前を言えるような色だけの配色です。
それなのに、絵力が本当にすごい!鮮やかさに目を奪われる訳でも、力強いタッチでぐいぐい攻めてくる訳でもありません。とても静かで優しいタッチだからこそ、ここにも想像の余地がたくさん残されている気がします。
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だって登場するものはみんな「へのへのもへじ」みたいな単純な顔なんですよ。
なのに、それぞれのいろいろな声が聞こえてくるくらい想像力が広がるんですよね。
単純そうに見えて、よく見ると線の太さや角度が微妙で絶妙で、そこには作者の奥深いこだわり感じられ…気づけばはまっています!個人的には、ずっと真面目な顔をしていた汽車が、終点に向かうところでふっと見せるやわらかい表情の変化が大好きです!
赤ちゃんから大人まで、シンプルだからこそあらゆる人を楽しませられる安西水丸ワールド。何歳でも、何度でも、手にとってほしい名作です。
引用:「がたん ごとん がたん ごとん」 作・絵:安西水丸 出版社:福音館書店