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しーっをめくって分かるのは、文字より絵を楽しむ絵本だということ。温かみのあるイラストがページいっぱいに描かれていて、最後のページをめくると「ごちそうさま」とココロの中がお腹いっぱいになれます。
しーっは生まれたての赤ちゃんから2歳くらいのお子さんに向けたベビー用の絵本です。けれどもネット上では「言葉のリズムがとってもいい」「寝る前に読んでいるとストレスが吹っ飛ぶ」と大人からの評価も上々。「静かにしてくださいね」と動物たちが会話するリズムが幼いころ聞いていた子守歌のようで、読んでいるうちに自然とコトコトと眠くなります。
作者でもあるたしろちさとさんは女性の絵本作家。経済学を大学で学んだあと、一般企業に勤めてOLをしていました。そののち会社を辞めて絵本作家としてデビュー。今では赤ちゃん向け絵本をはじめとした、色々なほのぼの系絵本を出版しています。
たしろちさとさんは、とあるインタビューの中でこう話しています。「絵本に出てくる情景は、記憶の一部をたどって生まれたものです。」目を閉じて耳を澄ますと、ふだんは聞こえなかった色々な物音が聞こえてくるとも話しています。えっ?もしかして怖い世界のはなし?
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いえいえ、たしろちさとさんが話しているのは、いったん気持ちをリセットすると、今までとは違う角度で物事を眺めることができる…そんなこと。大人になると色々な経験を積んできたことその経験値自体が、ときに災いや一種の固定概念となって、降り注いでしまうことがあります。耳を閉じてまぶたを閉じると、聴こえてくる音あらたな光もきっとあるはずなのです。
たしろちさとさんは「絵本を観るときに、身構えないでほしい」とも伝えています。絵本を読んで楽しいな、嬉しいな、つまらないなと自然な気持ちで感じて欲しいとも話しています。何かを読んで確実に何かを得る…自己啓発的な本が流行るこの時代、何も得られない本は価値がないもの…と錯覚してしまいがちです。
けれどもそれはちがう。何も感じない本、さらっと流れるように読める本があってもいい。固くなった大人の心を柔らかくマッサージしてくれる、そんな素敵な名作絵本です。
『引用:{絵本名} 作:たしろちさと 絵:たしろちさと 出版社:フレーベル館』