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絵本の名作を人に勧める時に、具体的にどんな人を思い浮かべますか?
「おちゃのじかんにきたとら」を勧めたいのは、日頃から外見だけで人を判断している人です。
この絵本は、驚く展開からスタートします。
お母さんとソフィーがお茶の準備をしていると、玄関からベルの音。そして、毛むくじゃらの大きなとらがいました。
「おちゃの時間をごいっしょさせていただけませんか?」
普通は断ります。だってとらですもの。
それなのにソフィーのお母さんは、快くお茶の席へとらを招き入れます。
とらはありとあらゆる物を食べてしまいます。
サンドイッチに始まり、冷蔵庫の中身まで食べてしまいます。
そして、満足したらとらは帰っていきます。
ここだけ読むと、なんてひどいとらだと思うでしょう。
でも、何が素晴らしいかというと、とらがどんなに食べても、ソフィーもお母さんも怒らないし、この事を聞いたソフィーのお父さんも怒りません。
それどころか、お父さんは自分の夕ごはんも食べられてしまったというのに、それでもとらを許すのですから、相当おおらかなのだと思います。
と、同時に自分達は日頃から何て怒ってばかりなのだろうと反省してしまいます。
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いつからこんなにイライラするようになったのでしょう?そして、相手を外見だけで見るようになったのでしょう?
以前、バスに乗ったら強面の人がいて、しょうじき側には座りたくないと思ってしまったんです。
そうしたら、その人は立っている妊婦さんにさりげなく席を譲ってあげました。
その瞬間、自分の考えが恥ずかしくなりました。
この絵本を読み返す度にその時の事を思い出します。
もしかしたら、このとらさんは何軒も何軒も回って断られたのかもしれません。
だから、あんなにお腹を空かせていたのかもしれませんね。
そして、自分が迷惑なお客さんだという事もとらは分かっていたのかもしれません。
だから、もう二度とソフィー達の前には現れなかったのかもしれません。
引用:おちゃのじかんにきたとら
作:ジュディス・カー
訳:晴海耕平
出版元:童話館出版