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「100万回生きたねこ」に何を感じるかで、人生の成熟度が分かる *大人が読みたい名作絵本*

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ある所に、1匹の猫がいました。
猫は何度も転生を繰り返し、やがてそれを周囲に自慢するようになります。
「おれは100万回生きた猫だ」と。
周囲の猫たちは彼を畏怖尊敬しすり寄るばかり。
けれども、ただ1匹、彼の思い通りにならない猫が表れて・・・?

「100万回生きたねこ」は、ミュージカルにもなったベストセラーの絵本です。
私がこの絵本の存在を知ったのは、私が高校生の頃でした。
当時、TVで「100万回生きたねこ」のミュージカルのコマーシャルが流れていました。
いったいどんな話なんだろう、とずっと気になっていました。
やがて大学に入学して2年生になった頃、たまたま入った古道具屋で、古本として売られていた「100万回生きたねこ」に出会い、購入しました。
最初に読んだ感想は、「意外とありふれた内容だったな」でした。
ミュージカルになるくらいだから、何かとても新鮮な展開やどんでん返しがあるのかと期待していましたが、実際にはとてもシンプルで、特にひねりもないストーリーでした。
私は絵本を奥底にしまいこみ、存在すら忘れていました。
やがて結婚し、子供が産まれて、子供が大きくなったら読んであげよう、と、いま再び「100万回生きたねこ」を引っ張り出して読んでみました。
主人公の猫の中にあるのは、承認欲求です。
承認欲求とは、種族維持本能につながる人間の根本的な欲求です。
なぜならば、異性に認められなければ、子孫を残すことができないからです。
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主人公の猫は、欲求のままに自我をアピールし、それになびかない異性に出会って初めて「自分を曲げる」という行動に出ます。
今までは、自分のことしか考えていなかった、それが、他者を思い、他者とともに生きていくことを選びます。
今までとは違う価値観が世の中に存在するのだと認識したのです。
すなわち本能的に生きるのではなく「社会的に成長した」のです。
そして、違う価値観を得なければ見られなかった景色を見ることになるのです。
この絵本は、一見単純に見えるストーリーですが、そこから何を感じるのかによって、読み手の人生の経験値や人間性の成熟度が測られるのだと思います。
大学生の私は、経験値が低く、自分のことしか見えていなかった、だからこそ「ありふれている」としか感じられなかったのだと思います。
あなたがもしこの絵本を読んだら、この単純なストーリーにいったい何を感じるでしょうか?
ぜひ、一度読んでみてくださいね。
佐野洋子 『100万回生きたねこ』 講談社、1977年

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