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『はくちょう』という絵本を紹介します。
私がこの絵本にであったのは大人になってからです。
子どものころに出会っていても何も思わなかったでしょう。
タイトルを見たり聞いたりしただけでは、鳥の白鳥の話でしょと思います。
いや、鳥の白鳥の話なんですけど。
擬人法でかかれたお話なので、私たち人間にもそっと寄り添えるお話です。
登場するのは、白鳥と小さな池とときどき狐です。
狐に怪我をさせられた白鳥が一羽。仲間の白鳥たちが遠い北国へ飛び立つ中、池の隅で傷を癒していました。
小さな池は白鳥を心配して、励まそうとしますが、池の気持ちが白鳥に簡単に通じることはありません。
白鳥も傷が癒えて旅立つときがきます。
池は胸がキュンと詰まります。
さよなら白鳥さんとも言えません。
一人で遠い北国へ旅立たせるわけにいかない、励ます仲間も居ないのに。
池は白鳥さんとさけんでいました。そして飛び立っていました。
池が白鳥の姿になって飛び立ちました。
二羽の白鳥はお互いに励ましあいながら遠い北国を目指します。
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これは、大きな愛ではないでしょうか?
池の白鳥を思う気持ちが、池を白鳥の姿へとかえます。
想いが深ければどうにでもなれるんだという気持ちになります。
小さな池だけれども、純粋な気持ちで白鳥を守ってあげたい。
そして、どっしりとしたこんな池に私も守ってもらいたいと思いました。
最後のページには一匹残る狐の姿が描かれています。池と白鳥の壮大な愛を見届ける生き物がいることも絵本作家さんの粋を感じたりもしました。
最後に、内田麟太郎さんの詩的な文章といせひでこさんの青と白を基調とした油絵で描かれた美しい絵。
これは、子どもの絵本ではなく大人にこそふさわしい絵本です。
なんか寂しいなと思う夜に。究極の愛を感じられる絵本『はくちょう』を読んでみてはいかがでしょうか。
久しぶりに読んで私も胸がキュンとなりました。
絵本名『はくちょう』
出版社 講談社
文・内田麟太郎 絵・いせひでこ