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「あかい、ふうせん」の素晴らしさは、その先をイメージ出来るという事です。
文字がない絵本がなぜ名作と言われるのかというと、自分で物語りを作る事が出来るという事です。
文字がないという事は、読んだ人数分だけ物語りがあります。
楽しい物語りもあれば、哀しい物語りもあるでしょう。
そして、毎日読む度に物語りは変わっていくのです。楽しい日には楽しい話しを、哀しい日には哀しい物語りになるのです。
小さい時に、せっかく買ってもらった風船を離してしまった事がありました。慌てて手を伸ばしても、もう遅く。風船はどんどん空の彼方へと飛んでいってしまいました。
もしかしたら、私が離してしまった風船も、こんな風に旅をしていたのかもしれません。大草原を渡り、青い海を飛び越えて、私が知らない旅をしていたのかもしれない。この絵本を読みながら、そんな事が思い出されました。
なぜ、人は文章のないお話しに物語りを見いだすのでしょう。そして、不思議と風船の気持ちを考えてしまうのです。
赤い風船は、一体何を考えていたのでしょう?旅をする喜びを感じていたのでしょうか?それとも、本当は旅などしたくなかったのでしょうか?
不思議なもので、風船が楽しそうだと思えば、なんだか風船が笑っているようにも感じますし、風船が哀しそうと思えば、なんだか嫌がっているようにも見えます。
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大人になると、日々の常識にとらわれて、空想するという力を失っていきます。でも、絵本を開くと、再び以前のように空想する力が戻ってくるようでした。
そして、赤い色というのも魅力の一つだと思います。
赤という色は、人を惹き付ける魅力に溢れています。なぜなら、赤という色は人をとても前向きにしてくれる色だと思うからです。
人は無意識に元気になりたい。と、願う時に赤を見ているような気がするのです。そうした色の効果も考えられていると私は思います。この絵本のテーマは、人々に元気を出す事を思い出させることなのかもしれません。
引用:あかい、ふうせん
作・絵:イエラ・マリ
出版元:ほるぷ出版