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「木はいいなあ」は、私達が日頃から忘れがちな事を思い出させてくれます。
いつもの風景。いつもそこに木がある風景は、当たり前だと思っていました。夏の陽射しから私達を守ってくれて、風の強い時には、まるで両手を広げて風を防いでくれているかのようでした。
でも、私達はそれを当たり前だと思い、気にも留めていなかったのです。この絵本は、そんな私達の事を見透かしているようでした。
そして、大好きな木があった事を思い出させてくれました。どうして、忘れてしまったのでしょう。
小学校の時に、大きなポプラの木がありました。私達を見守るように、いつも静かに佇んでいました。
ポプラの木はみんなの人気者でした。ポプラの木の周りでよく遊んだりもしました。友達とケンカした時には、ポプラの木に話を聞いてもらいました。
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でも、小学校を卒業してから自然と足を向けなくなり、気が付くと私は大人になっていました。
この絵本を読んで、かつての事を思い出した私は、急いでポプラの木に会いに行きました。でも、その時にはもうポプラの木は切られていました。
理由は分かりませんが、かなり老木になっていたので、それが理由なのかもしれません。
でも、いつもあった木がなくなるだけで、どうしてこんなに寂しさを感じてしまうのでしょう。
そして、この「木はいいなあ」が名作だと言われている理由も分かりました。この絵本は、いつもの風景の中に木がある大切さを教えてくれているのと同時に、木は私達を守っているのだと教えてくれているのです。
雨や風から私達を守り、大きな両腕で登ってくる人を歓迎しています。そして、時には花を咲かせるものもあり、時には甘い果実をもたらすものもあり、私達をいつも見守ってくれているのです。
絵本は時として、私達が忘れていた事を思い出させてくれます。
ビルに囲まれた世界も素敵なのかもしれませんが、青々とした木々に囲まれる生活も大切です。
その事を気付かせてくれたこの絵本は、まさに名作です。
引用:「木はいいなあ」
作:ユードリイ
絵:シーモント
訳:西園寺祥子
出版元:偕成社