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パリで暮らしてみたい、とくに女性ならそんなふうに一度は憧れてしまうパリ!
「げんきなマドレーヌ」はある女の子の日常を通して、憧れのパリの空気がふんわり感じられる楽しい絵本です。
パリのとある屋敷で暮らしている12人の女の子。その中で、一番のおちびさんが主人公のマドレーヌ。そんな説明だけで物語は始まります。屋敷での暮らしはとても秩序正しいもの。
決まった時間に、並んでパンを食べ、並んで歯を磨き、並んで散歩をして、並んで就寝。この12人の女の子たちの暮らしについて背景の説明は一切ありません。
ちょっと強引な話の進め方ですよね(笑)。でも大丈夫。そんな疑問はすぐに飛び散ってしまいます。そう、はじめのたった4文を読み終えれば、すっかり彼女たちの毎日の暮らしぶりを見てきた気持ちになってしまいますから。
そのくらい、この4文の力が偉大なんですよ!そんな圧倒的な文章力を感じるのもこの「げんきなマドレーヌ」の魅力のひとつではないでしょうか。
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マドレーヌシリーズが日本でこんなに愛されているのは、翻訳の瀬田貞二さんの貢献がとても大きいだろうと感じるほど、シャープで優しい素敵な文章です。海外の名作に親しむには翻訳者の力って本当に偉大ですよね。
マドレーヌはそんな翻訳力を楽しむ観点でもおススメです。
そしてもう一つの魅力が何といってもルドウィッヒ・ベーメルマンスの絵。
言葉の説明はない代わりに、お世話をしているシスター先生、礼儀正しい食事の様子、つばの広い帽子と品のよい外套を身に着けて散歩に行く姿などから、彼女たちの生活ぶりが生き生きと伝わってきます。
また、その日常生活の背景にさりげなくパリの名所、エッフェル塔やコンコルド広場、ノートルダム寺院などが描かれているのも心憎いですね。マドレーヌたちの毎日繰り返されているお散歩ルートって実はとってもセレブだったのね。なんて、そこは大人だからこそ分かる醍醐味ですよね(笑)。