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こっぷはいつも身近にあるものです。水を飲んだり、時には計量カップの代わりをしてくれたり、いつも身近にあるからこそ気が付かなかった事がたくさんあります。
この絵本は、イラストではなく写真で彩られています。
透明なこっぷは、水や煙を捕まえて、時には美しい虹を作る事も出来ます。
この絵本を読むまで、そんな簡単な事に気が付きませんでした。
透明なこっぷに、透明な水が入っているというだけなのに、そこに太陽の光りが差し込むと、それだけでまるで芸術のようです。
それも、時間がたつにつれて姿形を変えるのです。
芸術というのは、絵画や銅像のような物だと思っていました。
でも、この絵本を読むと誰もが芸術家になれるのだという事が分かります。
どこにでもある普通のこっぷ。でも、中身を炭酸飲料にすれば、それだけで泡の芸術のようです。
光を当てたり、ライトで照らしたり、時には逆さまにしてみたり、ほんの少しのアイデアで、いくらでも芸術は作り出せます。
名作というのは、誰もが作り出せる一瞬の美であるという事を、この絵本は教えてくれているように思えます。
きっと子供の頃には、こっぷやスプーンで誰もが芸術家に、音楽家になっていたんだと思います。
子供の時には、こっぷの縁を吹いて、音を出してみたり、スプーンで叩いてその音色を楽しみました。でも、大人になると次第にこっぷは、ただのこっぷとしてしか見ていなかったような気がします。
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こっぷから覗いた世界は、いつもよりもキラキラとして見えたり、いつもよりも不思議な世界に見えました。
大人だって、たまには不思議な体験をしたいのです。
そんな大人心を誘い出すのが、とても上手な絵本だと思います。
そして、写真を使う事で、よりリアルにこっぷの素晴らしさを感じる事が出来ます。イラストでは表現しきれない光の屈折や、こっぷの透明感がよく現れています。
難しい文章が連なっているよりも、美しい写真に彩られている方が、伝わる事は多いです。
引用:こっぷ
作:谷川俊太郎
写真:今村昌昭
アートディレクション:日下弘
出版元:福音館書店