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子供達が帰った後の幼稚園。夜になり、もちろん誰もいません。でも、どこからか可愛いお友達が現れます。そっとさんにすっとさん、ぬっとさん達はそれぞれ好きな事をして過ごします。
プールで遊んでみたり、椅子に座って楽しくお喋りしたり、お日様が現れるまで、彼らは楽しい一時を過ごします。
子供の頃。窓から見える真っ暗な家を見て怖くなった事を思い出します。なぜ、昼と夜ではあんなにも世界が違って見えるのでしょう?
もしもあの頃にこの絵本と出会っていたら、きっとワクワクして窓の外を見ていただろうな。と、ついつい思ってしまいます。
夜の世界は不思議です。夜道を歩いていると、まるで後ろに誰かの気配を感じたり、電柱のシルエットに怯えたり、大人になっても時おり「怖い」と感じてしまいます。
でも、もしもそれらの事も夜にしか現れないお友達がしている事だったら?と、思うとクスッと笑ってしまいます。
今まで怖いと感じていた事も、そっとさん達のおかげで、まるで絵本の中の世界に迷いこんだ気持ちです。
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それに、彼らの名前は全て擬音で出来ていて、名前からどんなお友達なのか想像してしまいますよね。
そっとさんは、きっと優しいお友達。
さっとさんは、多分動きが早いお友達。みたく、名前からどんなお友達なのか、どんな声をしているのか、想像は膨らみます。
それに、中辻さんの絵がとても素晴らしいんです。それぞれのキャラクターに合っていて、アートとしても素晴らしいです。
夜の幼稚園を舞台に、まるで浮き上がって要るように見えるのが、また良いんです。
夜から朝になる瞬間は、ほとんどの人が分からないと思います。
でも、彼らはきっと知っていると思うんです。夜から朝になる瞬間を。本来なら、朝が来るのはとても良い事の筈なのに、この絵本を読んでから、朝が来るのを寂しいと感じてしまうんです。
夜しか現れない不思議なお友達。
そう思いながら夜の街を歩いていると、ついニコニコしてしまいます。まさに、名作中の名作だと思います。
引用:よるのようちえん
作:谷川俊太郎
絵:中辻悦子
出版元:福音館書店