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「子どもの頃好きだった絵本は?」
そう訊かれて挙がる作品は色々だと思いますが、ランキングを集計したとすると相当上位に食い込んでくるであろう絵本……それが
『はらぺこあおむし』
です。
作者はエリック・カールさん。絵本作家の王様と言っても過言ではない名作家ですね。
【はらぺこあおむしのあらすじ】
知ってる方も多いでしょうが簡単にあらすじをまとめると「一匹のおなかを空かせたあおむしが誕生し、色々な食べ物をバクバク食べて成長して、最後には華麗なる変身を遂げる作品」となります。
「え~! それだけ?」と、大人からみると何にも面白くない内容のように感じてしまいますが、この絵本にはこどもがワクワクするような様々な要素が盛り込まれていて、絵本の魅力を最大限に発揮するよう考え抜いて描かれていることが分かります。
【はらぺこあおむしの魅力5選】
1.カラフルな配色
絵本の基本であり王道でもあるカラフルな配色――それがこの作品では存分に発揮されています。
あおむし自身の塗りもべた塗りじゃなく、微妙な色の変化や筆のタッチが残っていて魅力的です。
このあたりは作者であるエリック・カールさんの得意技ですね。
出てくる食べ物もカラフルで現実の色とは違います。
でもそれが不思議ととっても美味しそうでワクワクします。
2.こどもが大好きなギミック
あおむしが食べ物を食べていくと、食べられたお菓子や果物には穴が空いていきます。
この穴は絵本のページに実際に穴の空けられた仕掛け絵本になっていて、あおむしが食べ進む様子がとってもよく分かります。
子どもはこの穴が大好きで、指で何度も触っているうちに穴がボロボロになっていってしまうというのも『はらぺこあおむし』あるあるです(笑)
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3.あおむしの変化
はじめは卵の姿。それが小さなあおむしとして誕生し、食べ物をたくさん食べていくうちに次第に成長していきます。
食べすぎて体がパツンパツンになってしまった姿にこども達は大笑い。
大人にとっては「もしかして私、食べすぎ!?」と、自分とダブってしまってヒヤヒヤする姿かもしれませんね(笑)
4.起承転結から大きなカタルシスへ
ユニークに食べる姿が描かれていきますが、食べすぎたあおむしにちょっと異変が……? 少しハラハラと心配になるシーンです。
終盤でもあおむしに変化があり、読者を飽きさせません。山あり谷ありの構成となっていて、物語の基本である「起承転結」を本当にしっかりとおさえた作品だなぁと感じます。
最後には大きなカタルシス(心が洗われるというような意味です)が得られるようになっていてこの物語の最大の見せ場です。
忘れちゃった人、まだ読んだことのない人はぜひ見てみて下さいね。
5.歌がとってもステキ
実は『はらぺこあおむし』には歌が存在します。
作曲は幼児曲の王様である新沢としひこさん。これがとても良い歌で、絵本と一緒に聴くことでワクワクしたり癒される気持ちが倍増します。
こうした歌が作られているということ自体も、この絵本が本当に愛される名作であることをあらわしていると言えるのではないかと思います。
こちらも、知らない人はぜひ一度聴いてみて下さいね。
【大人から見てもやっぱり『はらぺこあおむし』は名作だ!】
このように『はらぺこあおむし』はこどもが楽しめるように考え抜いて作られた作品だということがよく分かりますね。作者のエリック・カールさんはこどもの気持ちが本当によく分かるんだなぁ、と感心してしまいます。
でもそれだけじゃありません。この絵本を子どもに読み聞かせているとき、一緒になってワクワクしている大人がそこにいるのです。
心が動かされる理由は子どもと同じで、可愛らしいあおむしの姿や物語の緩急、そして感動のエンディングなのではないかと思います。こどもと同じでいくつになっても楽しめる。
『はらぺこあおむし』は大人も楽しめる名作で、絵本の王様と呼ぶのにふさわしいとってもステキな作品だと、大人になったいま読み返して改めて感じました。
引用:はらぺこあおむし 作/絵:エリック・カール 出版社:偕成社