この「てぶくろ」という本は、ウクライナ民話です。
海外の本というのもあるせいか、挿絵などもかわいらしくありませんし、色彩もどちらかといえば地味です。
それでも、なぜかワクワクしてしまう本なのです。
ある雪の日に、おじいさんが森で片方の手袋を落としてしまい、その後おじいさんが落としたことに気づき、手袋を拾いに来るまでの間の出来事です。
私が子供の頃、母から読んでもらった時は時間の間隔なんて一切感じていませんでした。
おじいさんが手袋を落として、それに気が付き拾いに来るまでですから、ほんの数時間だったでしょう。
大人になってみればおかしな時間の間隔ですが、絵本って多分、どれも時間間隔なんて問題なく書かれているものだと思います。
落とした手袋にの中に、次から次へと森にすむ動物が入っていくのです。
カエルやウサギやイノシシや・・・。
次はどういう動物が一緒に住むのか、子供ながらにドキドキ・ワクワクしていました。
子供って動物が好きですよね。
そして、自分たちの「居場所」というのも好きだと思います。
幼稚園くらいの年代なら、おままごとを通じて、自分の「家」を作っていたし、小学生低学年の頃は、家の中でも外でも、友達と一緒に「基地」だの「陣地」など作って、自分たちだけの居場所を作っていた。
絵本って、とても単純な本ですが、とても想像力豊かになる読み物だと思います。
この本で言えば、大人の手袋に、カエルくらいならまだしも、ウサギやイノシシやキツネなど入れるわけもないのに、そんな事は疑いもせず、次はどの動物が来るのだろう、小さな手袋の中でみんなで楽しいな、などという感覚だけでした。
子供に読み聞かせをする頃、私はもう一度この本を自分が読みたくて、購入したのです。
同じような感想を持ってくれたかは定かではありませんが、ドキドキ・ワクワク感はあったと記憶しています。
「てぶくろ」ウクライナ民話 福音館書店
絵 エウゲーニー・M・ラチョフ
訳 うちだりさこ