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全ては見えないせんで繋がっている *大人が読みたい名作絵本*

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「せんをたどって」は、一本のせんを指でたどりながら旅をするお話しです。町や村、空や海、せんをたどりながら世界はどんどん変わっていきます。

この絵本の魅力は、「触れる」絵本だという事です。一本のせんを指でたどりながら、読んでいる人はいろいろな場所を旅します。せんをたどる旅は、あっという間の出来事ですが、その小さな旅行でいろいろと気づく事が出来ます。

この絵本の隠されたメッセージは、世界は一つのせんで繋がっているという事ではないでしょうか。せんは目に見えるものだけではありません。人と人との繋がりや、社会との繋がり、自然との繋がり、など様々なものと繋がっています。

そして、そのせんは歴史とも繋がっています。歴史に名前を残すような偉人ではない限り、誰かの人生がクローズアップされる事はありません。でも、私達も歴史の一部なのです。せんは、時間や空間とも繋がっているのだという事がわかります。

時おり、絵本は哲学的だと思います。特に「せんをたどって」のように簡単に表現しているように見える絵本は、幼児向きと思われる人も多いと思いますが、それだけではないと思うのです。絵本を読むのは幼児や子供だけでしょうか?絵本を読んでいる大人の事も意識して作られていると思うのです。
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なぜせんをたどる必要があるのでしょう?せんをたどる事で何が分かるのでしょう?

名作というのは、文字や説明がなくても、作者のメッセージが伝わる絵本ではないでしょうか?

「せんをたどって」の魅力は、その色使いです。赤や青といった鮮やかな色だけではありません。黒なども使っているのが、この作品を子供向けだけではないという事を教えてくれているような気がしているんです。

大人になり、絵本を開く機会も減るでしょう。でも、時にはゆっくりと絵本を開いて、絵本に隠されているメッセージを考えてみるのも良いと思います。
せんをたどる度に、毎日違うメッセージを感じる事が出来るのです。

引用:せんをたどって
作・絵:ローラ・ユンクヴィスト
訳:ふしみみさを
出版元:講談社

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