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「きりのなかのはりねずみ」は、絵本の中でも、かなり芸術性や哲学的な影響を感じる作品だと思います。
仲良しのこぐまの家に、こぐまが大好きないちごのハチミツ煮を持っていくはりねずみ。でも、気が付くと霧が立ち込めていました。
この絵本が伝えたい事は、未知への挑戦が生きていく上でどれだけ大切なのかという事ではないでしょうか。
子供の時に、未知なるものは全て興味の対象でした。でも、大人になると未知は恐怖の対象でしかありません。いつの間にか確かめる勇気もなくなってしまうのです。
絵本の中に出てくる霧は、人々の不安や恐怖を表しているのではないでしょうか。霧は、先が見えないから不安です。奥に何があるのかも分かりません。そして、気が付いたら動けなくなってしまうのです。
この霧を、人生や夢に例えたらどうでしょう。人生や夢は未知の世界です。勇気を出して進むか、それとも立ち止まり、諦めるかなのです。この絵本は、進む勇気を教えてくれる「道標」のような本なのかもしれません。もしもはりねずみが後戻りをしていたなら、この物語りはどうなったのでしょう?
きっと平穏な日常に戻るのでしょう。はりねずみは、怖い思いをする事もなく、優しさに触れる事もありません。
未知の世界を進む事は決して怖い事ばかりではありません。その奥には、楽しい事もあるのかもしれません。
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絵本の素晴らしさは、人生をどうやって生きたら良いのかを教えてくれる事です。学校は勉強やスポーツは教えてはくれますが、人生の歩き方までは教えてはくれません。
絵本は、人生の楽しさも哀しさも教えてくれるのです。
そして、まるで芸術作品のような美しい絵もこの作品の魅力です。
自分だったらどうするのかな?と、思いながら読むのもとても楽しいです。
文章も一節一節がとても美しくて、出来るだけゆっくり読みたい絵本です。
そして、未知なる世界は決して怖い世界ではないのだという事を教えてくれる名作だと思います。
引用:きりのなかのはりねずみ
作:ノルシュテインとコズロフ
絵:ヤルブーソヴァ
訳:こじまひろこ
出版元:福音館書店