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そのままのあなたが好き。老若男女を問わず、大切な人に言われて嬉しい愛の言葉ですね。恋人でも友達でも家族でも、理想を押し付け・押し付けられるような関係ではなく、「そのままでいいよ」と受け止めてくれる現状全肯定ほど、人間を幸せにしてくれる状態はないのです。
60年代末のアメリカ、ドン=フリーマンが著した「くまのコールテンくん」は、軽快な展開とコミカルなタッチで、読み手を楽しませてくれる素敵な名作絵本。でもよくよく読み返すと、自分の大切な人を幸せにするための小さな秘密が、じんわりと伝わって気持ちが熱くなる大人向けの本でもあります。
デパートのおもちゃ売り場で、今日も売れ残るくまのぬいぐるみ、コールテンくん。ようやく買い手が来たかと思ったら、自分の欠陥部分を指摘されてしまい…?
思いがけず自分の欠点を知らされてしまったら、あなたはどうしますか。コールテンくんの場合は大して落ち込みもせず、それをカバーするために奔走を始め、そこが笑いを誘う見せ場でもあります。でも現実社会での場合は、どうにもならなさに落ち込み、コンプレックスの事ばかり考えて、どんどん悲観的な状態に陥ってしまうことも珍しくはありません。
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思わず笑顔がほころんでしまうようなエンディングシーンを見れば、結果としてその欠点がどうにもならないものだとしても、それはさほど重要でなかったことがわかります。第三者の目から見ての自分の「欠点」は、何らかの手段でフォローができるものであったり、あるいはその大切な人こそが欠点を補完できる立場にあったりします。だからこその気持ちの通じ合い、愛情がそこにあり、お互いに大切な関係というものが成り立つのではないでしょうか。
大好きな人のために、理想の自分にならなければいけない…。いま、多くの日本人がこんな強迫観念に少なからず踊らされてしまっているように感じられます。理想を理想たらしめているのはあなたの大切な人ではなく、単にあなた自身の思い込みに過ぎないかもしれません。そういった枠組みから解き放たれ、自由に大切な人と見つめ合える時こそ、私たちは真の幸せを発見できるのかもしれませんね。
『引用:くまのコールテンくん 作・絵:ドン=フリーマン 出版社:偕成社』