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絵本の表紙を見て「ああ、見たことある」最近感じたことのなかった安堵感。どんなに絵本に興味がない人でも、一生に一度は必ず目にしたことがあると思われるのがディック・ブルーナのちいさな うさこちゃん。世界40カ国以上で愛され続けている名作絵本です。
ケンタッキーのお髭のおじいさんのようなディック・ブルーナは1927年にオランダに生まれ多数の絵本を執筆したあと、2017年のはじめに亡くなっています。もともとは父親の経営する会社で、文庫本のデザイナーとして活躍していたディック・ブルーナ。ミッフィーを連想させるような鮮やかでぱっきりした色彩美は、このころから如実に発揮されています。仕事で上司にこつんと怒られたときも、彼氏にフラれてしまったときも、ディック・ブルーナの絵を眺めていると「人生、下を向いてちゃモッタイない!」と思えてきます。文字や言葉はそれほど多くないのに、絵本のイラストひとつでこんなに人を勇気づけられるなんて、さすがディック・ブルーナ。
ちいさな うさこちゃんのあらすじに目をやると、主人公のミッフィーに赤ちゃんが誕生する幸せなストーリーが描かれています。当たり前のように母から命を受け当たり前のように生きている毎日だけれども「そんな当たり前の日々」それ自体が実はとても幸せなことなのかも…。生きていることの尊大さ、ありがたさを大人に伝えてくれる作品です。
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ちいさな うさこちゃんを始めとしたディック・ブルーナの作品は、日本の児童小説家いしいももこさんの手によって翻訳されています。いしいももこさんと言えば、ピーターラビットやくまのプーさんなど、世界の名作を手掛けてきた有名翻訳家。いしいさんの決して難しすぎず、自然とこころの中に入っていく糸のような柔らかいフレーズは、うさこちゃんのストーリーに小さな花を添えてくれています。
何か変わらなければ、自分を磨かなければ!と息せき切って走ることに疲れたとき「たまには休んでいいんだよ」と語りかけてくれるステキな絵本です。
『引用:{絵本名} 作:ディック・ブルーナ 絵:ディック・ブルーナ 出版社:福音館書店』