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もし男性にプレゼントする絵本を探しているのであれば、間違いなくこの名作絵本がおすすめ。アライバルは1人の男性の一生を描いた物語です。絵本という名にふさわしく、ひとことの文字も見当たりません。セリフや言葉は何処にもないはずなのに、何度と繰り返し読んでいくと、どこからか「見えないセリフ」に気づくことができるのもアライバルの良さ。幼いお子さんには少し難しい内容になっていますが、年輪を重ねた大人ならきっと手ごたえを感じることのできる作品になっています。
作者でもあるショーン・タンはオーストラリア出身の作家です。実の父はマレーシアからオーストラリアに移った経歴を持っており、父親の生き様がアライバルに大きな影響を与えているといわれています。絵本の中では主人公が家族とともに異国へ向かう一部始終が描かれていますが、もしかしてこの主人公=大好きなお父さまの姿なのかも?物語の背景を知ってしまうと、ページを操るのがさらに趣き深くなります。
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こちらの名作絵本の素晴らしいところは文字が無いことともうひとつ、無駄な色彩を使いすぎていないこと。絵本全体のカラーはセピア色のような、淡い色彩で統一されています。ところどころわざと折り曲げられたような線や傷も入っていて、真新しい本のハズなのに、レトロな古さを匂わせるところも作者のこだわり。実家に帰省し物置に眠っていた古いアルバムを取り出して、過去の余韻に浸っているような…そんな不思議な感覚になります。
薄くて持ちやすい本が主流となっている今、こちらのアライバルはとにかく大きくて重たい本です。書店から持ち歩くのにはやや大人には堪えるサイズのため、できればインターネット注文して自宅まで配送してもらう方がおすすめ。絵本に慣れ親しんだ女性はもちろん、絵本を普段あまり読む機会のない男性ユーザーにこそ読んでもらいたい傑作です。
『引用:{アライバル } 作:ショーン・タン 絵:ショーン・タン 出版社:河出書房新書』