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どうして、自動車はぶーぶーなのか。どうして水が流れている音をじゃあじゃあと表現するのか。
そんな今まで意識してこなかった「音」の大切さに気が付く名作です。
「じゃあじゃあ びりびり」には様々な音が入っています。
一枚一枚捲る度に、まるで本当に水が流れているような、まるで本当に紙がびりびりと破けているような音がする気がします。
不思議ですが、私達は音を無意識に言葉で表現しているのです。
誰かに教わった訳でもないのに、ほぼ同じように表現しているのです。
絵本の世界は、そうした音の世界も表現の一つとしているのかもしれません。
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例えば、じゃあじゃあという音も言い方一つで、優しく聞こえたり、激しく聞こえたりするものです。100人が読めば、100通りの「ジゃあじゃあ」が存在するのです。
一枚一枚捲る度に現れるのは音だけではありません。
原色をメインに使われたイラストは、どれもこれも鮮やかで、イラストのイメージからも音は変わるような気がします。
「びりびり」と書かれたページには、本当に紙が破けているようなイラストが書かれています。たったそれだけなのに、どうやって破いたのか、なぜ破いたのか、読んでいる人が思わず想像を巡らせるように出来ているように思えます。
そして、この絵本に描かれている音だけが音ではありません。例えば、ページを捲る微かな音や、本棚にしまった時の音。全ての音がこの絵本の魅力を最大限にしてくれるのです。
この絵本を読み終わった後は、世界がほんの少しだけ変わっているような気がします。
無意識に耳を澄ませて全ての音を聞いている自分がいます。
大人になると、次第に音の世界を「特別」とは思わなくなります。
でも、この絵本を読むとどれだけ私達が音に包まれて生活しているのかが分かります。もしも、音が消えてしまったら、どれだけ寂しい世界になるのでしょう。
忙しい日々の中でも、音を大切にする事がどれだけ大切なのかを教えてくれる一冊です。
引用:じゃあじゃあ びりびり
作・絵:まついのりこ
出版元:偕成社