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自分よりも大きな卵を見つけたら、どうするだろう?
子どもの頃、「ぐりとぐらの世界に行ってみたい」と思ったものです。
双子の野ネズミのぐりとぐら。仲良しの二匹が、ある日森で大きな卵を見つけます。
それをどうゆう風に料理していくのか、というお話。
大きな卵。
夢がありますね。でも、こんなに大きな卵、普通なら、「誰の卵だろう?」とか、「お母さんが探していないかな?」とか思いそうなものですよね。
なのに、「食べちゃおう」と発想するなんて、ぐりとぐらはかなり破天荒なイメージです。
私なら何だか不気味だし、怖くて食べられないかも。卵を使った料理はたくさんあるけれど、二人はカステラを作ることに。フライパンでカステラを作るなんて、想像しただけでいい匂いがしてきそうですよね。
そんな型破りな二匹が何とか卵を割って、試行錯誤を重ねながらカステラを作ります。
必要な材料や道具もさっさと調達してくるし、失敗してもすぐ次の手を考える。カステラが焼けるのを待つ間も、楽しく待つことができる。
最後まで諦めずに、でも楽しんでやり遂げるぐりとぐら。こんなにいい匂いをさせていたら、そりゃあ匂いに釣られてみんな集まってきますよね。だけど、決してケチではなく、森の動物たちにも分け与える気前の良さ。懐が深いです。
この二匹の野ネズミは、人間だったら起業して大成功しそうな感じがします。しかも、割ったあとの卵の殻も、工夫して利用します。何ともあっぱれです。余すことなく使い切るなんて、まるで料理上手な主婦のようですね。
だけど、もしもぐりとぐらが自分の子どもだったら、嫌だと思います。すごくやんちゃな二人に、きっと振り回されっぱなしです。ちょろちょろ動くのを追い掛け回して、一日が終わりそうな気がします。
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それに、何だか問題を起こしそうで、常に冷や冷やしてしまいそうで、精神的にも疲労しそうです。お母さんは、あなた達にはついていけません。
子どもの頃読んだ時には、単純に「フライパンで焼いたカステラ、食べてみたい」と思っただけだったけれど、大人になって読んでみたら、「食べてみたい」はもちろんのこと、「作ってみたい」とも思いました。
フライパンでカステラを作って、熱々を食べるなんて、贅沢で幸せですよね。想像しただけでよだれが出ます。大人になった今は、火だって扱えます。レシピだってインターネット上でも色々公開されてるし、比較的簡単にできそうな予感です。
しかも、フライパンはフライパンでも、スキレットで作ればそのまま食卓にも出せるし、見た目もオシャレだし、ぐりとぐらの世界観にピッタリです。可能ならば子どもと一緒に作ってみても良いかなと思います。
お母さんが子どもといっしょにこの絵本を読んで、いっしょにカステラを作ることで、さらに楽しく会話もはずむことでしょう。親子の会話の中で新しく生まれた自由な発想で、新たなぐりとぐらの世界が生まれるかもしれません。
自由気ままなぐりとぐら。
二人は歌も大好きで、物語のところどころに歌が出てきます。物語中にあるこの歌を、どうゆう風に歌うのか、どんなふしをつけようか、と想像するのも楽しいです。色んなふしを付けてリズム良く歌うと、さらに楽しい気分に。
絵を見て楽しめて、歌で楽しめて、お菓子の匂いを想像して。五感全てで楽しめる、いつ読んでも新鮮な絵本です。
大人の凝り固まった概念をぶち破る、型破りな二匹の野ネズミ。
そんな二匹が、力を合わせることで、どんなことでも成し遂げることができると教えてくれます。そして、自由な発想で日々を楽しむことを思い出させてくれます。忘れてしまいがちな大事なことを、優しい世界観で教えてくれる、子どもも大人も楽しめる、名作です。
引用:ぐりとぐら 作:なかがわりえこ 絵:おおむらゆりこ 出版社:福音館書店